「初めて」をたくさん重ねて

モリヤマ ミキ(住の江幼稚園 絵画造形講師陣)

更新:2016-03-31

暖かい春がやってきました。桜の花びらがひらひらと落ちる園庭で、子ども達が一生懸命に桜の花びらをたくさん集めたり、落ちてくる花びらを追いかけたり、風が吹くと桜と夢中になって遊ぶ姿を目にします。大人はキレイだなと思う人が大半だと思いますが、花びらをたくさん集める事はなかなかしないですね。日々の生活の中で、子ども達だけがわかる、子どもの世界や時間があることを感じることがあります。この子どもの世界を大切に我々大人が関わることは、とても大事なことだと思うのです。例えば大人が桜を一緒に見て、「キレイやね」と一言でも子どもの思いに共感することはとても大事です。

春の幼稚園生活での「遊び」の中には、年少、年中、年長とだんだんと大きくなる時間の中で、幼児期に育てたい、幼児期にしか育たない「生きる力」がたくさん散りばめられています。
よく大人は「あっという間に大きくなった」と言いますが、振り返ると「あっという間」かもしれませんが、決してあっという間には大きくなっていませんね。幼児期の1日の経験は、もう大人では取り戻せない、貴重な時間なのです。

春の園庭では、初めての集団生活の中でお母さんに会いたくて泣いてる子、ボール遊びを夢中でしてる子、砂やまを作ったり、泥だんごを硬く握ったりしてる子、泥だんごがなかなかできなくて、何度も泥だんごを作ってる子、滑り台を滑ったり、ごっこ遊びで先生になりきったり、お友達と一緒が楽しくなったり、ケンカしたり、仲直りしたり、園庭ではここに、書ききれないくらいのたくさんの経験が待っています。
初めて保護者と離れ、子ども自身が自分で見て自分で決めて自分で確かめることは、保護者の皆さんにとっても初めての経験で、長年勤めてる保育者にとっても毎年入園してくる子どもは同じではなく、初めての出会いで初めての経験です。幼稚園では毎年の子どもとの出会いを大切に思い、緊張したり、楽しみにしたりしながら、毎年新たな気持ちで新学期を迎えます。
幼稚園に入園し「初めて」をたくさん経験し、これから幼稚園に通う中で、この「初めて」がたくさん積み重なり、この経験の積み重ねは、何か大きな行事や特別な経験だけではなく、日々の何気ない1コマの出来事の積み重ねからの子どもの成長を、保護者や担任すべての幼稚園に関わる大人が気づき、成長を確認することから、今の子どもの姿がよく見えてきます。

幼稚園の春は「初めて」がたくさんあります。子どもと一緒に色々な経験の、はじめの一歩を時には「せーの」と声をかけ合ったり、いつの間にか子ども自ら一歩二歩と歩いていく姿を時には見守りながら、1度しかない2016年の春が始まりを、子ども達との新たな出会いを楽しみに、春の保育をじっくりと楽しみ、進めていきたいと思います。

 

執筆者

  • モリヤマ ミキ
  • 住の江幼稚園 絵画造形講師陣
  • 住の江幼稚園幼稚園教諭を経て住の江幼稚園絵画造形講師
  • ふぁみなび:住の江幼稚園紹介ページ