子育て真っ最中のママさん、集っていいんですよ!

南方 泉(NPO法人ネットワークすこやか 事務局長)

更新:2016-03-23

わたしの子どもは高校生。
私自身の子育ても子どもが半分自立した今、有り余るパワーを地域の子ども達に楽しんで注いでおります。そう思うきっかけになったのが私自身「子育てしながら企業で働くワーキングマザー」だったことなのです。

はじめての出産、育児休暇、子育てと仕事への復帰を目指す中、私の暮らす地域には今の様な子育て広場はありませんでした。仕事の復帰と子育ての狭間で地域の人とのつながりもない中、孤独に子育てをした記憶があります。その頃言われていた「公園デビュー」がなかなか出来ない中、戻る場所は会社しかなく保育園に10か月の娘を預けて仕事に復帰しました。
ところが保育園に預けた途端に水疱瘡と麻疹にかかり1か月の休みを余儀なくされもう一度復帰をしたときには「有給休暇ゼロ」の状態でした。親には会社を辞めて子育てに専念するように責められ、会社の同僚や上司には小さな子どものいる社員はあてにならないとみられ、子どもが病気になっても両親も遠くに住んでおり誰も助けてくれない子育てでした。

と、ここまでは同じような苦労をされた母親は世の中に沢山いらっしゃいますし、もっともっと大変な子育てを経験された方もいらっしゃると思います、普通ならば、くじけるところだったのですが、私が会社で初めての育児休暇復帰を果たした第一人者でしたので、会社を意地でも辞めずに子育てしながら働きたい女子社員につなげたいと考えていました。

もう誰も助けてくれない!ピンチ!となった時に私自身が行動に出たのは同じ保育園に子どもを預ける同じ立場の母親たちでした。
同じ思いで子どもを預けていた母親同士はすぐに助け合うようになり、支援の輪が広がりました。子どもを預かったり預かってもらったり、まさに「遠くの親より近所の人」が何よりの頼りだったのです。その時なんども同じような孤独な思いをしながら子育てしている母親たちにもこの支援の輪を広げたいと考えたものでした。
それが今のわたしの子育て支援への原点だったのかもしれません。

700万年前から子育て中の母親同士は集う生き物でした。

育児休暇中は毎日のようにどこかに出かけて、カレンダーが真っ黒でした。
両親には呆れられた記憶があります「よくもまあこんな毎日出かける事があるよね、ちょっとは落ち着いたら?」とも言われました。でも最近の科学的観点からみてわかってきたことがあるのです。人間という生き物は700万年前から子育ては集団で行ってきたのです。進化していくうえで助け合う、子どもを育てあうという行為は長い月日を経て「脳」に刻まれてきたというのです。それがたった100年前ほどから核家族化がはじまって、本来の母親の本能とは反して、子どもと向き合う人間が母親と小さな子どもというスタイルになってしまって、母親はとてもしんどい思いをしています。だから「集う」ということは本能がそうさせていて、ごく自然なことなのです。
だってわからないことだらけですよね?初めての子育てって本当に手さぐりでしたし失敗の連続でしたよね?わからないことがあれば仲の良い母親に気持ちをきいてもらい、「うちだけじゃなかったのだ」と再確認し、安心しませんでしたか?だからどうか孤独に子どもと向き合うことなくどんどん子育て広場へ集ってほしいのです。

いま日本は少子化で国の危機です。
母親とお子さんがすこやかに過ごされて、精神的にも安定して頂き、家族と地域の協力のもと是非子育てを楽しんでほしいと考えています。私たちに出来ることはまだまだあると確信していますし、いつでも頼って頂きたいと考えています。

 

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