ワークライフバランスとは何か?

小崎 恭弘(大阪教育大学教育学部 准教授)

更新:2016-03-22

 最近ワークライフバランスという言葉がよく聞かれます。この言葉の本当の意味はどのようなものなのでしょうか?このワークライフバランスを考えるためにいくつかの視点でとらえたいと思います。

 ワークライフバランスとは一般的には「仕事と生活の調和」と意味づけられています。この言葉の台頭はあまりにも過度に「仕事」に傾斜していた状況に対して、ひとつの疑問を投げかけたものだといえます。それは「人生の意味とは何か?」という根本的な問いです。もちろん働くことは単に稼ぐだけでなく、社会的な存在や生きがい、人とのつながりなど本当に多くの意味を持っているとても素晴らしい活動です。しかし人は「仕事」のみで生きているわけではありません。「仕事」は人が豊かに生活するための一つの営みです。しかし現代社会においては、仕事に時間・意欲といった生活の多くを費やされてしまう現状があります。そのアンバランスさに注目して、それぞれの適切な生活の在り方を考えましょうということです。特に男性たちの生き方と働き方のバランスを真剣に考える必要があります。

 そしてその場合の考えとして、二つの軸を持つことが必要です。一つは横軸としてのワークライフバランスです。これは「プライオリテイー(優先順位)」といえます。つまり現在の生きる中での、なすべきことの順位付けです。いま大変仕事が忙しい働き盛りの人に、「仕事を辞めてしまえ」というのは少し乱暴です。その人なりの生きる上での優先順位を大切にする必要があります。

 もう一つの軸は「ライフステージ(時間軸)」です。今の優先順位の在り方をいつまで保持をしていき、そしていつその順位を切り替えていくのか考えることです。どのタイミングで人生のライフステージの変化に対応していくのかを、予想して備えるということです。これら横軸と縦軸の二つの在り方を、バランスよく考えることがワークライフバランスを大きな意義だと思います。

 しかし残念ながら、多くの男性はこのワークライフバランスについて、意識したり考えたりすることが、あまりありません。このコラムでは、男性のワークライフバランスについて考えていきましょう。

 

執筆者

  • 小崎 恭弘
  • 大阪教育大学教育学部 准教授
  • 1968年生まれ、兵庫県出身。
    専門分野:児童福祉、子育て支援、保育学 研究テーマ「男性の育児支援のプログラムとシステム」 主な著書「我が家の子育てパパしだい」(旬報社)「パパルール」(合同出版)「ワークライフバランス入門」(ミネルヴァ書房)「男の子の本当に響く叱り方・ほめ方」(すばる舎)
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