キリンからの応援   ~ 子育てはビックリポンの連続~

岡本 聡子(NPO法人 ふらっとスペース金剛代表理事)

更新:2016-03-22

◆私も子どもにイライラする事あるで!

子育て支援活動をしていると、自分の子育ては上手にしていると、誤解されることがある。
ある日、親子が集うひろばで出会ったお母さんに「岡本さんが、子どもにイライラする事ってあるんでしょうか?」と、聞かれてびっくりしたことがあった。「あるある!!しょっちゅうある」と応えると、そのお母さんは少し驚き、その後「それを聞いて安心したぁ~」と嬉しそうな顔をした事が、私にはとても印象的な出来事だった。
なので、ここでは勇気を出して、私の子育て経験の中のちょっと恥ずかしい話を書こうと思う。

◆お母ちゃんの頭からツノがはえた!

長女が4歳、次女が10か月の頃を思い返せば、長女にたいそう理不尽なことでよく怒っていた。「はやく!ごはん食べ!」「はやく、服着て!」「はやく、お風呂入るで」そして、子どもが言う通りしないと、「お姉ちゃんやろ?」「何回言うたらわかるねん?」ともっともらしく叱っているつもりで、イライラをぶつけていた。もちろん、どれくらい急げば「早く」する事なのかは、私にもよくわかってないし、何回言ったか答えてほしいと思っているわけでもないのだ。
ある夜、「いつまでテレビを観てるん?」「もうちょっと」と応える娘に「もうちょっと、っていつまでよ!」と大きな声を出したとき、「こわい。お母ちゃんの頭からツノはえてる」と長女が泣き出した。そこで反省できればよかったのだが、「ツノって何あほなことゆうてるん!」と追い打ちをかける。ギャーギャー泣かれると、悪い母親だと責められているような気持ちになり、「あんたが、ゆうこと聞かないからやろ!」と、はちゃめちゃな理由まで持ち出して、やましさを正当化したくなる。
夜泣きのひどい次女に、「私を寝させないつもり?いい加減にして!」と大声を出したこともある。寝させないなどという意思が、赤ん坊にあるはずもないのに、愚かなことだ。
そして、娘たちの寝顔をみてから反省し、「ごめんな」とつぶやく。
そんな日々を過ごしていた事があった。

◆子育てはビックリポンの連続

確かに、子どもにとっては理不尽な暴力だったと反省している。
けれど、子育ては、予定通りにいかない、予測不能な事の連続だ。

トイレのトイレットペーパーが空っぽになり、廊下中が真っ白になったり
水槽の金魚で金魚すくいごっこをして、水浸しにしてみたり
白い壁にクレヨンで絵を描いたと自慢げに報告にきたり
髪の毛を散髪したと言って、部屋中を人形の毛だらけにしてみたり
ダンゴムシをお砂場バケツに採ってきた事を忘れて、家中がダンゴムシまみれになったり

そんな時、私の大変さに共感して話を聞いてくれる人がいれば、笑い話にできたかもしれない。あるいは、楽しめる心と時間の余裕があれば、許せたのかもしれない。

◆あなたが日々、頑張っているって知ってるよ

子育て中の母親たちに声をかけたい。
あなたは、ご飯を食べられている?ぐっすり眠れている?グチを話せている?
日々、頑張っているって知っているよ。
17年前の私が、誰かに言ってもらいたかった言葉だ。

I am OK.
You are OK.
We are all OK.

私とあなたはそれぞれに価値観や経験をもっている
私が私であっていいように
あなたはあなたであっていい
私たちは、違う人間だけどそれぞれにいい

どこかに正しい子育てがあるんじゃないかと思っていた時は、自分の至らなさと未熟さに私が良い母親だとはとうてい思えなかったし、しんどかった。けれど、良いか悪いかは脇においといて、そこそこ子育て頑張ってるやん!と自分の事を思えたとき、肩の力が抜けて子育てが楽しいと実感できるようになった。

 

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