子育て、ひとり(孤独)にならないで 差しのべた手は誰かがつないでくれる ~親の想い~

徳谷 章子(NPO法人ハートフレンド 代表理事)

更新:2016-03-22

私たちが、地域で「ハートフレンド」を発足したのは、平成15年です。母親15名で立ち上げました。市民活動に興味が全くなかった私。でも36歳の時から地域の子ども会活動に関わってきました。その理由は、「ある病気の発病」でした。

私には3人の子どもがいます。
大学を出て教師をしていましたが、結婚、出産で退職することになってしまいました。その当時、「保育所」のことをほとんど知らなかったのと、主人は自営業ということもあり、「子どもを預けて自分の好きな仕事を続ける」ことができなかったのです。
私の仕事は「育児」になりました。私の目標は、「立派な母親になること」になったのです。全エネルギーを注ぎました。「育児記録」を詳細に書きました。子どものできること、できないことに一喜一憂する毎日。そんな私は、誰のアドバイスも耳に入らなくなっていたのです。育児書をバイブルのように持ち歩いていました。でも一生懸命に子育てを頑張ったのです。

3人目が3歳になったころ、ある日、突然、私は倒れました。
家事が一切できない。手順が思い出せない。おふとんをかぶって一日中泣いている。悲しい。「うつ病」の発症でした。「なぜ、私が?」「私は頑張っていただけなのに・・?」と自分が生まれてきたことさえ後悔するような日々でした。

病院の先生は、「今まで誰かに助けてほしい、と言えてたらこんな風にはならなかったのですよ。」と言われました。私は、言えなかったのです。聞いてくれる相手はいましたが、自分から言えなかった。言いたくなかった。自分で頑張らないといけないと思い込んでいたのです。家族に支えられて少しずつ回復していきましたが、家の外に出れるようになるまでに1年かかりました。

そして、その時に誘われたのが、「子ども会活動」でした。
私は、友達がほしかった。だから主人を説得して活動に参加をしていきました。

ハートフレンドは、「誰かが差し伸べた手を、どんな時でも誰かがつないでくれるような親子のあったかな居場所づくり」を目指して発足しました。
平成28年で活動を始めて13年目を迎えます。「こんな活動があれば、親は嬉しいね。」「こんな教室があれば、子どもの生きる力を育てられるね」そんな想いからたくさんの活動が生まれたのです。

 

執筆者

  • 徳谷 章子
  • NPO法人ハートフレンド 代表理事
  • 昭和30年生まれ。京都教育大学卒業後、中学校に勤務。結婚・出産を機に退職。平成13年から桑津子ども会連合会の会長を務める。子ども達のあそび場を創りたくて、平成15年、子ども会の母親15名と任意団体「ハートフレンド」を発足する。文部科学省の「地域子ども教室」を運営を経て、平成18年にNPOになる。地域子育て支援拠点を4か所と児童ディサービス・ハートフレンドを運営。高齢者対象の「おとなのてらこや」事業や遊びを通じて、世代間交流の推進にも力を入れる。出産から高齢者までの共生福祉のまちづくりを目指す。社会福祉士
  • ふぁみなび:NPO法人 ハートフレンド紹介ページ