あなたは、1か月にご自身やご家族が何にいくら使っているのかご存じですか?先月は、黒字(収入>支出)でしたか?それとも赤字(収入<支出)でしたか?また、そのように判断した理由・根拠は何ですか?
第3回は、前回に続けてお金のマネジメントがテーマです。
昔の話で恐縮ですが、私が就職したのは平成元年で、私立の短期大学に助手として採用されました。当時、既に給料は口座振り込みが一般的でしたが、勤務先は慣例として「現金の手渡し」でした。就職して初めて手にした給料袋はびっくりするほどの厚みがあって、かなり動揺したのを覚えています。期待とともに開封すると、指先が切れそうな新札がたくさん入っていましたが、残念ながら1万円札をはるかに上回る枚数の千円札を確認して苦笑いです。少し考えれば当然のことなのですが、分厚い給料袋を手にドキドキした…ちょっと恥ずかしい思い出です。
さて、今や現金(キャッシュ)のやりとりを必要としない、キャッシュレス社会です。家賃や光熱費等はもちろんのこと、子どもの習い事やPTAの会費も口座からの引き落としが定着しています。アルバイト代も、当然口座振り込みです。クレジットカードの発行枚数は、成人一人当たり約3枚です。お財布以外にも、口座を介したお金の流れが日常化していると言えるでしょう。
少し前のことですが、大学生に「家にお財布を忘れたら取りに戻るかどうか」尋ねたところ、「戻らない」という答えが予想以上に多くて驚きました。その代わり、ほとんどの学生が「スマホ・ケータイを忘れたら絶対に取りに戻る」とのこと。いくつかの理由がありますが、「お財布を忘れてもプリペイドカード(前払い式・チャージ式)とスマホがあればなんとかなるから」もその1つです。定期券付きの鉄道系のカードがあれば、交通費のみならずコンビニの支払いもカバーできます。大学生協での買い物や食事も、プリペイドカードがあれば問題ありません。
スマホでも、クレジットカードの情報を登録しておけば、チケットの予約やオンラインショッピングなど、実に多様な支払いに対応できます。「いつでも」「誰でも」「どこででも」、現金を介さずに商品やサービスを購入できるわけです。ちなみにクレジットカードでの支払いは、即時決済のデビッドカードと異なり、口座引き落としまでに時間差があります。しかも、翌月一括払いだけではありません。分割払いやリボルビング方式(いわゆるリボ払い)、ボーナス月に支払いをまとめるなど、方法は多様です。契約しているカード会社によって、口座引き落としの日程も異なります。
かつての現金決済中心の社会であれば、例えば費目ごとに封筒を用意して「食費〇円」「家賃△円」「子どもの習い事◇円」…のように分類・管理するなどの方法が合理的だったかもしれません。しかし、現代のようなキャッシュレス社会では、封筒方式は使えません。日常的にお金の動きが見えにくいため、マネジメントがとても難しくなりました。だからこそ、何らかの形で「見える化」する必要があると言えるでしょう。
次回は、具体的な「見える化」の方法について、個人的な経験も含めてご紹介したいと思います。