子育てがうまくいくコツ ~子どもの成長と絵本(4)~

杉本 節子(ちゃいるどネット大阪 障害共生保育研究プロジェクト座長)

更新:2016-08-25

子どもは友だちとの関わりで力をつける!!

《 共感することで育つ姿から 》
子どもたちの成長は日々周りからの刺激を受け、好奇心旺盛です。
集団生活での経験から友だちとの関わりが多くなり、遊ぶ時も「よせて」「いいよ」などお互いに相手を好意的に意識するようになります。遊びの内容も園庭を使っての活動的な遊びや、ごっこ遊びなど、役になりきって表現する“つもり遊び”が盛んになってきます。大人が相手になるよりも、子ども同士で関わり合う楽しさを好んだり、4~5歳になると約束やルールが理解できるようになるので「きょうは、・・ちゃんがお店の人になるから、こんどかわろうね」など、どうしたらうまく楽しく遊べるかを考えて遊ぶようになります。きっとおうちに帰ったらいっぱい報告してくれることでしょう。このように自分の気持ちが満たされている時こそ、一緒に喜んであげたいですね。

《 ぶつかり合いの経験で育つ姿から 》
子どもの世界でも、友だちとの関わりでうまくいくことばかりではありません。おもちゃの取り合い、主張のぶつかり合い、競争で負けるなどは日常で起こります。

自分の思いを伝える

『これ・・ちゃんがもってたからとらないで』『・・ちゃんもこれほしいの、かして』など、言葉やその他の方法(表情やしぐさ)で自分の思いを出していく子と、中には取られそうになると「はい」と相手に渡す子もいます。大人の方で、友だちの物を取ってはだめなことを教えなければと戸惑うこともありますが、まずは子どもがどうしたかったのかを叶えてあげる方法を周りの大人がモデルを見せてあげたいですね。

●他児と思いがぶつかった時は、諦めないで自分の思いを言っていいんだよ。
●「・・ちゃんの顔見たら、嫌だってわかったよ。嫌だったね」
●「嫌なことをお口でちゃんと言えたね、すごいね」
と自分の気持ちを表出できたことを褒めてあげたいですね。相手の思いにも気付いてほしいですが、自分の思いを聞いてもらってからの方が入りやすいのではないかと思います。将来にわたり自己を表現していくことはとても大事なことです。乳幼児期からの積み重ねが子どもを育ててくれます。

「やめてあげて」と心が動く

友だちとの関係が深まっていくと自分のことも相手に伝えたいし、相手のこともとても気になっていきます。また、年齢が上がっていくと視野が広くなって客観的に物事を見ようとする姿も出てきます。自分や友だちの間で生じる、順番ぬかしや、仲間外れなどもどちらの立場も経験していきます。そうです、小学校、中学校の前段階の経験がすでに乳幼児期から始まっているといえます。でもこれは特別な事ではありません、むしろこんな機会にこそ解決の方法を子どもと一緒に考えていきたいのです。

●「順番ぬかしせんといて!」「やめてあげて!」
●「でも、もっとはやくしてほしいねん、おそいからいややねん」
●「おそかってもいいやんか」など、
当事者だけでなく、その場にいた子どもも巻き込んで色んな意見を交わし合いながらどうすることが、どの子もが納得できる解決かを見出していきたいと思っています。こんな経験を通して自分や相手を尊重する感性がどの子にも育くまれることを願っているのです。

~こんな時期に、一緒に読んでみたい絵本~

『けんかのきもち』 ポプラ社 柴田愛子 作
『かっちゃんワニになる』 解放出版社 あかさかひろこ 作
『ともだちほしいな おおかみくん』 岩崎書店 さくらともこ 作
『はしれ!ウリくん』 金の星社 きむらゆういち 作
『とらくんとぼく』 西村書店 カザ敬子 作

執筆者

  • 杉本 節子
  • ちゃいるどネット大阪 障害共生保育研究プロジェクト座長
  • 大阪府豊中市での公立保育所勤務を終え定年退職、現在は常磐会短期大学を初め三か所で非常勤講師として勤務。
     その他、『子どもにとって最も良いこと』の視点から保育実践を伝える講演活動や、絵本の読み聞かせ活動など
  • ふぁみなび:NPO法人 ちゃいるどネット大阪紹介ページ