人と人、顔が見えるコミュニケーションの安心

浅井 妙子(子どもNPOはらっぱ 理事長)

更新:2016-06-03

ライン、ツィッター、タイムライン・・・たくさんのSNSのツールがあり、
子どもたちはどんどん、顔が見えない、会わなくてもつながることのできる、
写真や短いことばの世界で関係を作っています。
そんな子どもたちも、子どもたち自身が参加し、創り出すイベントの中では、
SNSなんてどこの空、昭和な空気を満喫します。

 

「子どもたちが思いっきりあそべる1日を!」ということで毎年開催されている
「阪南岬子どもまつり」は、今年30年目を迎えました。

子どもまつりのメインは、
子どもNPOはらっぱの会員の子どもたちが店長としてお店の内容を企画し、
店員の子どもたちといっしょに出店する「子ども市」

 

園児や低学年の子どもたちは、おとなの力も借りながら、
「いらっしゃいませ~」とかわいい声で呼び込みをしています。
小学3年生くらいになると、売り上げも気になり、
何をどう売ったら儲けられるかと知恵を絞り始め、
高学年になると、お店はそろそろ卒業の子も出てきて、
賃金の出る「銀行員」に名乗りをあげたりします。

「子ども市」では、現金のやりとりではなく「ぴい」という通貨を使い、
銀行で換金、というあそびごころたっぷりの体験ができるのです。

そして、なんと、中高生、大学生、社会人の子たちも
「中高青(青は、青年)の店」を出店します。

今年は、「はしまき」(お好み焼きの洋食焼きを割り箸で挟んでくるっと巻く)のお店と、手作りシールのお店。

小学生のころからの経験がものをいい、どの子も手際よく動き、
知っている子たちに声をかけ、自分たちもよくしゃべり、よく笑い・・・
前日まで、店長の中学生は来るのか、店員は集まるのか、と心配したのはおとなだけ。

子どもたち同士はちゃっかりラインで連絡を取り合って、
しかも当日はラインに入っていない顔見知りの子を見つけ、
「おいで、おいで」と引き込んで、準備した材料を売り切りました。

「子ども市」が終わっての子どもの第一声は、「来年は、何の店にする?」

はらっぱの中高青の子たちを見ていると、
こうやってわざわざ日曜の昼間に、アルバイトを休んだり、時間を変更したりしてでも
来たいと思える(行かなあかんと思う)場所があり、
会えばすぐおしゃべりが始まって、
黙っていても輪の中にいられる安心な時間を大切だと思っているんだなあと感じます。

そして、おとなは、そんな子どもたちの笑顔や満足感からパワーをもらっています。

人と人が顔を合わせてコミュニケーションすることが大切、という価値観や、
子どもたちが「自分で創って自分で表現する」場があることの大切さを、
これからも「子ども市」を通して発信していきたいと思います。

 

執筆者

  • 浅井 妙子
  • 子どもNPOはらっぱ 理事長
  • ●1956年、岩手県生まれ。●大学は、源氏物語と新撰組、坂本龍馬の共通の地、京都へ。●家族は、夫と、6人の娘。●長女が幼稚園のとき、神奈川県川崎市で、おやこ劇場と出会う。以後、草加、東松山、阪南と引越し、劇場歴を重ねる。東松山では、おやこ劇場設立。現在、子どもNPOはらっぱ理事長。ほかにも子どもに関わる活動多数。
  • 関連WEBページ:http://www12.plala.or.jp/harappa-home/
  • ふぁみなび:NPO法人 子どもNPOはらっぱ紹介ページ