「上手なほめ方」

徳谷 章子(NPO法人ハートフレンド 代表理事)

更新:2016-06-01

「ちょっとした子育てのコツ」紹介の2回目です。

ハートフレンドでは、子どもの学習支援「てらこや」を実施して13年目になります。

先日、体験にある兄弟が来てくれました。「てらこや」では、誰もが、1年生の学習内容から復習してもらっています。4年生のお兄ちゃんは、「あれ?この問題やさしいなあ。」と言いました。少し不服そうでした。指導員が、「やさしい問題をたくさんこなしたら、本物の学力がつくよ。」というと、黙々とプリントをこなしていきました。1枚できたら、「すごい!さすがやね!」と指導員から声がかかります。1時間が経ちました。「わあ、20枚もできたよ。」とお兄ちゃん。そして、音読と漢字練習をして帰りました。

翌日、お母さんから、「もう、びっくりしました。いつもは、いやいや宿題をするのに、昨日、てらこやから帰ってから、夢中で宿題をしたのですよ。」と連絡がありました。てらこやで何枚もプリントを学習できたことが、自信につながってやる気がでたのですね。

指導員は、「こんな簡単な問題、できて当たり前」とは決して言いません。「当たり前にできることを誉める」このことは、子どものやる気を引き出します。

私は、数年前まで、「てらこや」で、子ども達を叱ってばかりいました。「早く座って」「鉛筆をちゃんと持って」「早くしなさい」 子どもと関わる時間は、「叱る言葉」から始まることが多かったのです。

でも、今は、「誉める言葉」から始めます。遅れてきた子どもには、「遅れても頑張ってきて、偉いね。」と言います。「来たこと」を、まず、誉めます。一息ついてから、「なぜ遅れたの?」と理由を聞きます。公園でついつい遊んでいたり、いやいや歩いてきたり。そんな理由も素直に言ってくれます。そんな時には、「正直に言ってくれてありがとう。でも次からは、頑張って時間には来てね。」そんなふうに関わると、子どもに変化が出てきました。「やる気」がでて、学習に熱心に取り組むようになりました。

子どもの行動は、「関わり方」を変えることで変化します。「手を洗った」時には、「手が洗えたの?偉いね。これでおやつ食べても病気にならないね。」「服が一人で着れた」時には、「一人で服が着れたの?すごいね。遊ぶ時間が増えるね。」
「できて当たり前」とは思わずに、「良い行動は誉める」。「誉める」ことには、「あなたを好きですよ。」「あなたをみていますよ。」というメッセージも込められています。

子どもの困った行動が、なかなか減らないということがありませんか?そんな時には、まずは、良いところを見つけ出して、誉めてみませんか? 「誉め言葉」は、子どもに「自信」をつけて、「やる気」を引き出してくれます。子どもとの関係も良くしてくれます。

「わかりやすく誉める」「子どもの視野に入って誉める」「できて当たり前のことを誉める」
是非、一度、実行してみてくださいね。
 

執筆者

  • 徳谷 章子
  • NPO法人ハートフレンド 代表理事
  • 昭和30年生まれ。京都教育大学卒業後、中学校に勤務。結婚・出産を機に退職。平成13年から桑津子ども会連合会の会長を務める。子ども達のあそび場を創りたくて、平成15年、子ども会の母親15名と任意団体「ハートフレンド」を発足する。文部科学省の「地域子ども教室」を運営を経て、平成18年にNPOになる。地域子育て支援拠点を4か所と児童ディサービス・ハートフレンドを運営。高齢者対象の「おとなのてらこや」事業や遊びを通じて、世代間交流の推進にも力を入れる。出産から高齢者までの共生福祉のまちづくりを目指す。社会福祉士
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