人育ちは双方向の化学反応

弓削 任代(NPO法人 こどもNPOセンターいずみっ子 理事長)

更新:2016-05-16

いずみっ子の活動には、ベビーから幼児、小学生、中学生、大学生、おとなまでが参加・参画している。どのシーンにもスリルとサスペンス?の特別な体験が溢れる。

同世代であそびきる

いずみっ子には世代別に活動グループがある。
ベビーからの「きしゃぽっぽ」、就園から低学年までの「チビ・びーの」、高学年の「チビティーン」、中高生の「フィールド!」、そこに青年が加わった「中高青会」。おとなだって遊ぼう!がコンセプトの「ぎゅっと!」
それぞれが、その世代同士だからこそあそびきれる場面を創る。
子どものあそびは遠慮がない。
配慮ありきの市民性から遠いところにあるところで、あそびきるからこそおもしろい。そこに事件は起こり、解決までの?あるいは未解決のドラマに臨場する醍醐味がある。獲得するものが有りや?無しや?そんなことをうんぬんするおとなのいない所で、又はうんぬんしないおとなといる所で、おもしろさが増幅する。子どもたちが青年との遊びに熱中するのは、彼らの世代が社会性の権化ではないからだ。
あそびの中で社会性が育つのは、子どもにとってはおまけ以下のようなもので、自分を見失うほどに喜怒哀楽がほとばしる体験が、自ら育つ力を生む。
いずみっ子は、この非日常な彼らの世界であそびきることをことさら大切にしている。

多世代で創る

一方、いずみっ子では多世代での活動を多く創出する。
人の人生は輪切りにはできない。自身も生まれてからずっと自分を重ねて現在に至る。
2016年のはじまりの月に、「お正月をあそぼう!」と題した多世代交流事業を企した。
人は、連続した営みの中で子どもからおとなへと変容する過程で、何故だか変化を遂げる。
人との共有の希薄は、人への想像の基礎を欠き、おとなは子どもの成長の過程を見守ることができない。
それは又同様に、子どもたちが高齢者の幸せに心を寄せる経験を奪う。
感情を宿した人と人との出会いの創出は、子どものみならず人間社会の苦境を変える要素にあふれる。
もう1つのカギを握る若い世代が双方の世界を魅了し、空間の躍動を鼓舞する役割を担い、その体験は又、若い世代を大きく育む。
子どもを育てる地域力の創出は急務であると声高に叫ぶ代わりに、気持ちのいい空間を多世代で共有する機会を着実に重ねていこうと思う。
人と在ることが心地良いと感じる原体験を持つ子どもたちが創出する未来は、現代社会の持つ課題を超越していくことを思い描くと愉快だ。
今日も、いずみっ子が運営する「いずみ・エンゼルハウス・府中」に笑い声と泣き声が響く。子育ては幼児期だけでは終わらない。いずみっ子は、綿々と続く人の成長に寄り添うしくみを持つ。母である彼女たちも脈打つ人生の途中にある。
この生まれたての熱のかたまりのような命を愛しいと思える瞬間は、思う本人が幸せに満ちているのだと、自身もまわりも気づくことから、又一歩が始まる。
 

いずみ・エンゼルハウス・府中 ※いつでも登録受付中
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冬企画「北風なんかに負けないぞ!」 今から何か始まるぞ!
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執筆者

  • 弓削 任代
  • NPO法人 こどもNPOセンターいずみっ子 理事長
  • 武庫川女子大学文学部卒
    特定非営利活動法人 こどもNPOセンターいずみっ子理事長
    地域子育て支援拠点事業いずみ・エンゼルハウス・府中設立
    和泉市親学習リーダー協議会代表
    和泉市こども子育て会議委員
    子どもと本を読む会青い鳥メンバー
  • ふぁみなび:NPO法人 こどもNPOセンターいずみっ子紹介ページ