子どもからのSOS(小学生編)

松浦 善満(龍谷大学文学部哲学科教授・NPO法人関西こども文化協会理事長)

更新:2016-04-11

いじめSOSを早期発見するポイントは?

―「ことば・身体」と「持ち物・服装」からのサインを見逃すな!―

いじめは何年生ごろから起きるのか?いま我が子はいじめられていないか?反対に友達をいじめていないか?いじめのSOSを発見するポイントについて紹介します。

<いじめは小学校3・4年生頃から起きる>
いじめの多くは子どもが仲良しグループをつくって遊ぶ頃、小学校の3,4年生頃から始まります。その後、小学校高学年から中学生にかけて頻繁に発生します。この頃、子どもは学習でもスポーツでも徐々にストレスを溜め中学校でピークに達します。他方、友達関係が親密になり自尊心も高まるので自分の悩みを他人に相談しにくくなり、いじめ被害はより拡大します。高校でもいじめは起こりますが徐々に少なくなります。このように多くの子どもがいじめを経験しますが、それは喧嘩(ケンカ)のように一過的ではなく、継続性を特徴としており、早期対応しなければ深刻化し「いじめ自殺」や犯罪にもつながるのです。

<ヘルプのサインを受け止める>
いじめの被害を受けている子どもは、大人には直接相談しないことが多いですが、心の奥では誰かに「知ってほしい」、「助けてほしい」というヘルプのサインを発信しています。このサインを受け止めるのが大人の役割なのです。他方、いじめの加害者もストレスを溜めており「ことばと身体」を通してSOSを発信しています。
ここでは主にいじめ被害の子どもが発信しているSOSを紹介しますが、これ以外にもありますので、ぜひご家庭、地域で話し合い「早期発見」に努めてください。また学校の先生方とも連携していじめの解決を進めてください。

<ことばと身体のサイン>
① 「行ってきます。」「ただいま!」の声が低い。(いつもより元気がない。)
②  朝、微熱、吐き気、だるさなどを訴えて登校をしぶる。(不登校にも)
③  食欲も元気もなくなる。
④  家でイライラしている。よく寝言でうなされる。寝汗をかくようになる。
⑤  体にマジックなどでイタズラ書きされたり、女の子は髪を切られていたり
する。(教室でふざけていたと嘘をつく。)
⑥  風呂に入ると身体に擦り傷や痣(あざ)ができている。(転んだと嘘をつく。)
⑦  いじめ加害者の子どもも「ことばと身体」に変化が見られます。(ことばが荒々しくなったり、目がきつくなったりする。遅刻や早退も見られる。)

<持ち物・服装のサイン>
① ケシゴム、鉛筆などよく持ち物をなくす。(ティッシュなど小物・消耗品に始まり、筆箱、下敷、上グツ、学用品など大きなもの、大切なものにエスカレート。理由をきいても「わからない」と言う。)
② 服やズボンが汚れている。(たずねると、ころんだ時、後ろの子がふんだ などと嘘を言う。)
③ ノートや教科書に落書きされている。(中学では鞄やサブバックに引っかき傷、ナイフで切られた跡がある。)
④ お小遣いの減り方が早くなる。(買ったものを見せなさいと言うと出せない。)
⑤ ケータイのメールに対して無関心になる(電源を切っている、返信しない。)
⑥ いつも乗っている自転車がよくパンクする。
⑦ 加害者の子どもの持ち物・服装にも変化が見られます。(金遣いが荒くなる。)

*お知らせ:いじめ電話相談紹介*
いじめ問題やその他について、子どもや保護者がいつでも相談できるよう、大阪府・全国で「24時間子供SOSダイヤル」が開設されています。

0570-0-78310(なやみ言おう)まで。

 

執筆者

  • 松浦 善満
  • 龍谷大学文学部哲学科教授・NPO法人関西こども文化協会理事長
  • 1948年大阪市生まれ、大阪教育大学大学院修了 国立教育政策研究所客員研究員、和歌山大学教育学部附属小学校長、和歌山大学教育学部長、同大学学長補佐など歴任。専門は教育社会学・教育調査論
    いじめ国際調査、不登校、教師のメンタルヘルス、学級崩壊調査に取り組む、
    NPO法人関西こども文化協会理事長  関西教育学会理事 大津市中学生いじめ自死事件第三者調査委員など歴任
    著書・論文
    ・『教室からみた不登校―データが明かす実像と学校の活性化』東洋館出版社、など多数
  • 関連WEBページ:http://www.kansaikodomo.com/
  • ふぁみなび:NPO法人 関西こども文化協会紹介ページ